JSMRM2021 注目された演題たち

日本の医学MRI研究における大きな学会である日本磁気共鳴医学会大会。今年はハイブリット開催となりました。

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現地参加の方にMRIレゴの抽選があったり、大会側から学会の楽しみ方や注目演題のピックアップがあったりと、例年よりも運営側のメッセージが伝わってくるいい大会だったように感じました。

個人的にはシンポジウムも何だろうと思うものから、私のような素人を対象にしたものもあって非常に楽しめ大満足でしたが、皆さんはいかがでしたでしょうか?

今回はJSMRMの抄録システムを利用して、注目された演題などの解析を行ってみました。

演題登録数

はじめに登録されていた演題を種類別にまとめました。

  • 特別講演:3
  • 教育講演:28
  • シンポジウム:74
  • Jointシンポジウム:8(ASMRM/JSMRM-KSMRM/JPC Joint Symposium)
  • ハンズオンセミナー:5
  • 口演発表:142
  • ポスター発表:166
  • モーニングセミナー:2
  • ランチョンセミナー:24
  • イブニングセミナー:7
  • スポンサードセミナー:2

口演発表がシンポジウムの2倍くらいとなっていたのは思ったよりも少ないなという印象でした。例年と比較すると今年は演題登録自体が少ないんでしょうか。

スケジュール数

演題毎のスケジュール数です。これは抄録システム上でスケジュール登録しておくと、自分用のタイムスケジュールが作れるという機能で、参加者が注目した演題をある程度反映していると考えられます。

トップ10は以下の通り。

スケジュール数 演題番号 筆頭演者 演題名
1 102 SY4-2 畑 純一 MRIノイズはどこまで許容されるのか? ~特性と評価法の理解~
2 100 SY4-1 尾藤 良孝 MRIシステムにおける信号と雑音
3 98 SL2 押尾 晃一 パルスシーケンス開発の本質
4 95 SY14-5 坂井 上之 頭部と整形外科領域のMRI検査
4 95 SY4-3 町田 好男 高速撮像法の進歩と画質評価
6 94 SS-1 村山 和宏 臨床に役立つ脳血管障害の画像診断:血管壁イメージングの活用法
6 94 SY14-2 鈴木 秀郷 早い,簡単,でもよく分かる!頭部MRAと心臓MRI
8 92 SY14-1 鍛治 尚利 条件付きMRI対応デバイス植込み患者の頭部MRI検査
9 91 SY14-4 高橋 沙奈江 MR conditional デバイス挿入患者における当院の取り組み
10 89 SY14-3 小見 正太郎 MR conditionalデバイスを使用している患者のMRI: GE社MRI装置を用いた頭部および腹部の検査について

MRIノイズやシーケンス開発、体内デバイス使用時検査に関する演題が目立ちますね。JSMRMは技師さんの参加が多いと聞きますので、基礎検討や実際の検査の際に役立つ演題が注目されたのでしょうか。

学術講演に絞って見るとスケジュール数が少し減って以下の通り。

スケジュール数 演題番号 筆頭演者 演題名
1 59 O2-026 安里 昌竜 頭部領域におけるVariable flip angleを用いたFLAIRの検討
2 56 O2-025 竹井 直行 同時収集3D T1強調,T2強調,FLAIRのマルチコントラストイメージングの検討
3 55 O2-073 矢部 邦宏 条件付MRI対応デバイスのリスクはどこまで周知されているか,に関する調査
4 53 O2-074 有田 圭吾 MRIにおける金属アーチファクト低減効果の基礎検討
5 51 O2-071 矢部 邦宏 医療機器植込み型患者の安全な撮像条件の蓄積・管理システム
6 49 O2-001 永井 康宏 3T-MRIによる心臓MR拡散強調画像における最適なtrigger delayの検討
6 49 O2-002 藤川 博司 後処理を必要としない複数回呼吸停止下で撮像する複数加算の拡散強調画像の考案
8 48 O2-046 塩谷 優 頸動脈プラーク評価におけるMP2RAGEの有用性の検討
10 47 O2-004 加賀 徹郎 Echo-planar imaging with compressed SENSE (EPICS)法で撮像した腹部拡散強調像の画質及びADC値評価
10 47 O2-005 渡部 勝浩 1.5T MRIにおけるDWIBS のためのCompressed SENSE 併用Single-shot EPI (EPICS)のSNR検討
10 47 O2-045 澤野 美樹 HyperCUBEと HyperSenseを用いた高速 T2 CUBEによる椎骨脳底動脈の評価:2D-BPAS法との比較

やはり安全系の演題が食い込んできますね。シンポジウムと合わせて注目のトピックですね。オンデマンドで10/20まで配信していますので、まだの方は是非チェックしてみて下さい。

抄録本文の自然言語解析

おまけとして抄録本文の自然言語解析を行い、頻出単語の抽出を行ってみました。

全460演題から4051英単語が抽出され、上位200個を頻度で重み付けして画像化しました。

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word cloud (JSMRM2021)

feature, model, learning, DLあたりはdeep learningやradiomicsに関連しそうなキーワードですね。

T1とT2を比べると若干T2の方が大きいですね。定量のしやすい差を反映しているのでしょうか...?興味深いです。

個人的にはMRE(おそらくMR enterographyではなくてelastography)がある程度の大きさなのは注目したいです。国際的にはアメリカ、ドイツの発表が多い印象がありますが、日本でも精力的に研究されているのは嬉しいですね。

さいごに

みなさんの注目した演題は入っていましたでしょうか?

こんな演題良かったよ、などありましたら是非コメントやtwitterhttps://twitter.com/akcharine)で教えていただけると嬉しいです。